白血病の現在と治療について

競泳の池江璃花子選手が白血病を公表されました。

18歳の若さでの罹患に衝撃を受けましたが、かつて不治の病といわれていた白血病も現在は治療法や治療薬の開発が進み、タイプによっては早期に発見できれば白血病の寛解も可能です。

自分自身が白血病になったとき、もしくは白血病にならなくとも、白血病と戦う方のためにできることをまとめました。

白血病とは?

白血病の罹患者は年々増加傾向にあり、毎年約1万4千人が新たに白血病と診断され、年間約8千人が死亡しています。

50歳代から急激に罹患者数が増加する傾向があり、高齢の方に多くみられる病気です。

ですが若者も少ないわけではなく、19歳までで罹患率が一番高いがん種が白血病となっています。白血病の罹患は年代を問いません。

白血病は血液のがんです。

血液の細胞は、骨の中の骨髄で作られて成長していますが、白血病はこの成長の過程に異常が起こり、血液細胞ががん化する病気です。

さまざまな白血病の種類がありますが、大きく分けると急性と慢性の2種類の白血病が存在します。

急性白血病は血液細胞のもとになる造血幹細胞が血液細胞へと分化できずに未成熟なまま増殖してしまう病気です。正常な血液細胞は減ってしまうため、症状としては貧血や異常な出血、感染症や発熱などの症状が現れます。

治療しないままだと、1~2ヵ月で死に至る、進行が速い白血病です。

慢性白血病は、急性白血病と同様に未成熟な血液細胞が増殖しますが、成熟した血液細胞も増殖します。

その結果、だるさや微熱、腹部の膨満感などが現れますが、症状としては目立たず、無症状のまま他の検査をして、発覚することがあります。

慢性白血病は4~5年経過した後、急性になり(急性転化)死亡に至ります。

どちらの場合も、早期発見して治療をしていくことが非常に重要です。

白血病の原因

白血病の原因は、はっきりとは解明されていません。誰もがなる可能性のある病気です。

ただ、がん化した血液細胞では遺伝子の異常が多く存在しており、白血病はさまざまな要因によって生じた遺伝子の異常によって引き起こされていると考えられています。

抗がん剤や放射線、大気中の化学物質なども原因の一つに挙げられます。喫煙習慣のある人は、白血病の発症率が高いことが知られています。

白血病は、親から子どもへと遺伝する病気ではありません。

白血病の検査と診断

別の病気の検査で受けた血液検査から白血病の罹患が疑われて、精密検査されることが多い傾向にあります。つまり、特定の症状がはっきりとあるわけではなく、「なんとなくだるい」といった症状が初発症状であることが多いようです。

早期発見のために定期的な健康診断を受け、体の不調を感じたら病院を受診しましょう。

血液検査で白血病の数の異常が認められたら、骨髄検査を行います。針を腰に刺して、骨髄血を吸引し、必要に応じて骨髄組織を採取して検査します。

針を刺す部位には局所麻酔を行うためにそこまで強い痛みはありませんが、針が骨髄に達して骨髄血を採取するときに強い痛みを伴います。

未熟な血液細胞が基準より多く見られた場合、白血病の診断が下されます。

骨髄検査に加えて、必要に応じて遺伝子検索やCT検査、最近ではPET-CT検査なども行いながら、さまざまにある白血病の中から種類を特定し、治療の方針を定めます。

白血病の治療

白血病の種類によって治療の方針はことなってきますが、急性白血病を例に考えると、「寛解導入療法」を経て「寛解後療法」へと進んでいきます。

「寛解導入療法」は基本的には複数の抗がん剤を組み合わせた強力な化学療法を用いて、白血病の寛解を目指します。

治療開始後、3~4週間程度でがん化した細胞が消えて正常な血液細胞が増えてくると完全寛解となります。

完全寛解が得られても、白血病は再発の可能性が非常に高いため、「寛解後療法」では再び強力な化学療法を用います。治療を繰り返して、再発の危険性がないと判断されると、経過観察に移ります。

強力な化学療法などにより、骨髄中の造血細胞が回復しないとき、骨髄移植を受けて造血幹細胞を提供者の体から移植します。

提供者と患者の白血球の型が合致すると移植が可能になりますが、なかなか合致することが難しい現実があります。数百人~数万人に一人の確立で適合するといわれています。

白血病の治療では化学療法が選択されることが多いですが、慢性白血病の一つである慢性骨髄性白血病では、分子標的治療が効果的に用いられます。分子標的薬はがん細胞のみを標的にして殺すので化学療法よりも副作用を押さえて治療が可能になります。

まとめ

白血病は治療せずに放置していると致死率が非常に高い病気です。しかし、現代では早期発見できれば生存率が上がります。そのため、日頃から自分の体について自覚的に観察する中で、異変があれば医師の元へ診察を受けにいくことが必要です。

また、造血幹細胞の提供者(ドナー)の数も慢性的に不足しています。かつ、高齢化社会のためドナーの数は年々減少傾向にあります。多くの白血病患者を助けるためにも、またいつか自分自身や、自分の大切な人が白血病になったとき、必要な移植が受けられる環境を作るためにも、いま、ドナー登録を検討してみてください。

参考

国立がん研究センター  がん情報サービス 急性骨髄白血病

https://ganjoho.jp/public/cancer/AML/treatment.html

国立がん研究センター  がん情報サービス 小児がん情報サービス 白血病

https://ganjoho.jp/child/cancer/leukemia/treatment.html

国立がん研究センター がん情報サービス 白血病の分類

https://ganjoho.jp/public/cancer/class_leukemia.html

図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫

(著者)永井正 (出版社)株式会社法研

白血病90の疑問 

(著者)大野竜三(出版社)株式会社最新医学社

Written by Ando. Supported by Fact Imaging LLC.
Suervised and edited by Nanase.

県境なき医師 七瀬

疾病と健康についての正しい知識が得られれば、間違った医療や健康法で身体を損なうこともなく、医療費を抑制できるはず、との理念を持っています。1人の医師が出来ることは手の届く範囲のことだけですが、情報発信で助かる命や健康もあるはず、と思って頑張ります。

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です